元夫に子供を会わせる時にシングルマザーが注意すべきこと
シングルマザーが子供を元夫に合わせる場合、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか。
多くのシングルマザーは、子供が父親に会うことに否定的です。
父親が、子供が健全に成長する中で悪影響があるのでは、という心配があるかもしれません。
逆に、たまに会う父親は甘くて優しいため、「子供が父親の方に行ってしまうのでは」とという不安がその理由であることもあります。
性格の不一致などが離婚原因で、子供がお父さんのことが大好きという場合は、非常に悩むところですね。
中には、元夫を嫌悪する余り、子が元夫と会うという事実だけで、精神的苦痛を受けるという方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、離婚後の面接交渉権は親の権利であると同時に子供の権利でもあります。
元夫と子供が面接交流することは、子供自身の健全な成長や人格形成に資すると考えられているためです。そのため、子供にとっての最善の方法は何かということを中心に考えて、元夫と子供をどのように会わせるかを考えていく必要があります。
今回は、シングルマザーが監護親である場合に、離婚後に元夫と子供を会わせる際の注意点について紹介します。
離婚後は絶対に子供と会わせたくない場合
DVやギャンブル癖、アルコール依存症などが原因で離婚をした場合、子供を父親に会わせたくないと考えてしまうのは当然です。
このような場合は、元夫は親権者として失格とみなされ、相手がいくら面接交渉権を持ち出しても、面会交流を完全拒否することが可能です。
しかし、非監護親の面会交流を法的に拒否することは、「非監護親の面会交流により、子供に悪影響が及ぶ」という理由以外では出来ません。
そのため、一切の面会交流を拒否するまでではないけれど、生活態度や言動で子供に悪影響がでるのではと心配される場合は、注意が必要です。
理想的なのは、離婚前に面接回数などをきちんと決めておくことです。
大体、月に1~2回で決めている人が多いようです。
離婚前に面会交流のルールを決めていなかった場合には、次のようにすると良いでしょう。
まずは、勝手に子供に会いに来ないということをしっかりと元夫と取り決めましょう。
同時に、子供ともしっかりと話をします。
会う約束をしている日以外は父親に会ってもついて行ってはいけないこと、家に訪ねてきても勝手にあげないことなどを約束しましょう。
この時に注意したいのは、子供に父親と会うのは駄目なことという意識を持たせないことです。
子供には両親が離婚して、母親と暮らすことになったとしても、父親に会うことはできるということを伝えてあげてください。
その上で、会うにはちゃんとルールがあることを伝えましょう。
できれば元夫とは、月に何回会うのか、何曜日にするのか、時間は何時から何時までにするのか、具体的に決めておくと安心です。
これらのことは、決まったら文書などにしてお互い持っておくようにすると、面会交流のトラブル防止になります。
元夫が勝手に子供に会いに来る場合の対策
これは、居住地が近いと意外とよくあります。
子供の下校時や習い事の時間を狙って会いに来たり、子供の学校行事に勝手に来たりします。
私の元夫も、結婚していた時は全く子供の行事に興味がなかったのに、離婚後は勝手に子供から情報を聞き出して学校行事に来るということがありました。
周りも子供も困惑しますし、私も元夫の勝手な振る舞いが許せず、区役所のひとり親家庭相談窓口に相談に行ったことがあります。
結果、元夫と話し合いを行い、勝手に会いに来ないことと、学校行事などに参加したい時は、事前に相談することを約束してもらいました。
私の場合は幸い話し合いで決着がつきましたが、話し合いにならない場合は、弁護士などに相談するように、区役所ではアドバイスされました。
離婚前は子供に興味がなさそうでも、離婚後は豹変して子供に執着することもあります。
離婚前にしっかりと、面接について決めておくことはとても大切ですが、そのルールが守られない場合には、毅然と対処する必要があります。
【離婚後トラブルの相談窓口】
面会交流は非監護親だけではなく子供の権利でもあることに注意
離婚したといっても、子供にとっては二人とも親に変わりはありません。
子供にとって父親が大好きな存在であるなら、母親の気持ちだけで面接の回数を制限してしまうのは良くありません。
権利を奪われた子供が、「お母さんのせいでお父さんと会えない。」と思ってしまったり、隠れて父親と会うようになったりする可能性もあります。私は、子供から父親にコンタクトをとることはほとんど制限していません。
特に面接の予定がなくても、子供が父親を誘って会うということもあります。
もちろんその場合は、父親の方から私に必ず連絡を入れてもらっています。
最近は、子供も成長したので休みの日は友達と遊ぶ約束していたりして父親からの誘いを断ったりもしているようです。
身体的・精神的に子供が被害を受ける可能性がないのなら、子供が父親に会うことを全て制限すべきではないでしょう。
そもそも、「非監護親の面会交流により、子供に悪影響が及ぶ」という理由以外で、子供の面会交流を拒否したり制限したりすることは法的に認められていません。
特に、正当な理由のない面会交流拒否は、親権を元夫に奪われることになる可能性もあるので、注意が必要です。
【母親の正当な理由なき面会交流拒否が原因となって、親権が元夫に変更された裁判例】
そうは言っても、離婚した直後は、父親と会った後、楽しそうに帰ってきたり、まだ一緒にいたいとごねたりする子供を見ると少し複雑な気持ちになることもあるでしょう。
ですが、子供の権利を尊重するということは子育てをする上でとても大切なことです。
元夫との面会交流は、子供の成長と人格形成に有益で必要なのだ、と、自分自身に言い聞かせ、自分の気持ちを上手くコントロールすることが重要です。
離婚後は子育てのパートナーとして
最近は、離婚した後も連絡を取り合い、元夫と良い関係を続けているシングルマザーもいます。
女性の生き方が多様になった現在では、深刻な原因がなくても離婚を選択する夫婦が増えました。
夫婦としては成立しなくても、子育てという共通の目標を持ったパートナーとして協力していければ、子供にとっても良い環境といえるのではないでしょうか。
中には、家族の記念日には離婚後も全員で集まるという約束をして離婚した夫婦もいます。
子供にとっては、どちらか一方の親だけでなく家族全員で過ごしたいというのは当然の気持ちです。
ただし、この場合気を付けなければいけないことがあります。
それは、「偽装離婚」を疑われる可能性があるということです。
居住地があまりにも近かったり、週に3回程度食事を共にしていたりする場合などは、事実婚状態とされ、様々な福祉制度が利用できなくなる可能性があります。
元夫と良い関係を築きたいなら、あくまで子育て上のパートナーとして、けじめのある態度を保たなければいけませんね。
まとめ
シングルマザー同士で集まると、「父親との面会」は毎回話題に上がるほど、みんなの興味が高いことです。
離婚前にしっかり取り決めをしている所や、全く会わせていないという所、私のように比較的自由にしている所など様々です。
いずれのケースにしても大切なことは、自分の気持ちだけで子供と父親との関係を決めてしまわないことです。
子供にとって何が一番良いのかを考慮し、子供自身がどうしたいのかをしっかりと聞いて、納得のいくようにしてあげましょう。
子供にとっては、離婚しても親は親であることに変わりはありません。子育ての責任は、離婚した後も両親が共に負っていくものです。
子育てを一人で背負い過ぎず、時には元夫との協力体制を前向きに考えてみるのも良いかもしれません。
おまけ:元夫と子供の面会をテーマにしたおすすめ映画
最後に、離婚後の子供との面会をテーマにした映画を紹介させて頂きたいと思います。
古い映画なのですが、「ミセス・ダウト」という映画をご存知でしょうか?
離婚裁判の判決により、週に1度しか子供に会うことができなくなった、ダニエル(ロビン・ウィリアムズ演)が、3人の子供たちと面会するために奇想天外な行動を起こします。
とっても明るく前向きなコメディでありながら、ほっこりするハートウォーミングな映画です。
「元夫と協力して子育てをするのも、子どもたちのためにはアリなのかな?」
この映画を見ると、ついそんな風に思えるようになるかもしれません。