再婚=親子とは限らない!連れ子の法的立場の選択肢

再婚して、婚姻届を役所に提出すると、晴れてシンママと再婚相手は夫婦になります。

しかし、シンママの子供や再婚相手に子供がいる場合は、親の再婚相手と子供にすぐに親子関係ができるわけではありません。

親子関係を結ぶためには、養子縁組をする必要があります。

親子関係ができるということは、相続権や扶養の義務が発生します。

また、子供の姓についてどうするかという問題もあります。

連れ子ありの再婚では、子供の法的立場をどのようにするかを慎重に決めることが大切です。

そこで、再婚による連れ子達の法的立場の選択肢について紹介します。

ぜひ、参考にしてくださいね。

ポイントは養子縁組と戸籍!連れ子の法的立場の選択肢3つ

連れ子の法的立場は、養子縁組と戸籍によって変わります。

シンママと再婚相手が婚姻届を提出した時、新しい戸籍が作られます。

しかし、その時点ではシンママと再婚相手のみの戸籍で子供は元の戸籍に残っている状態です。

そこで、子供の戸籍をどのようにするかの選択を迫られるのです。

親子関係を作るなら養子縁組をして同じ戸籍へ

一つ目の選択肢は、子供と再婚相手が養子縁組をして同じ戸籍に入るパターンです。

この場合、親の再婚相手と子供は親子関係になります。

婚姻届けを提出後に養子縁組の手続きをするだけの比較的簡単な手続きで済みます。

ちなみに戸籍には、「養親」「養子」と記載されます。

親子関係を作らずに同じ戸籍へ

二つ目の選択肢は、子供と再婚相手は養子縁組をせずに、同じ戸籍へ入るパターンです。

同じ戸籍に入るのに、必ずしも養子縁組をする必要はありません。

この場合は、「子の氏の変更申立て」を家庭裁判所に申立て許可された後、再婚後の戸籍に入籍届を出すことで、子供と親は同じ戸籍になることができます。

役所だけでなく、家庭裁判所に申立てをするので、手続きはやや煩雑です。

親子関係を作らずに同じ戸籍にもいれない

三つ目の選択肢は、子供と再婚相手は養子縁組をせず更に、子供を再婚後の新しい戸籍にも入れないというパターンです。

シンママの場合、再婚によってシンママ本人は新しい戸籍に異動します。

元の戸籍にはシンママの子供が残っている状態です。

この状態のままでいることは、法的に問題ありません。

そのため、シンママのみ戸籍を異動し、子供は元の戸籍に残るということも選択肢としてはあり得ます。

婚姻届けを出すだけなので、子供に関する手続きは特段有りません。

「親子」になる!養子縁組をすると具体的にどうなる?

連れ子の法的立場を左右する一つ目のポイントは、養子縁組をするかしないかです。

養子縁組をすることで、再婚相手と子供の間には「親子関係」が発生します。

親子関係が発生すると、どのようなことが変わるのでしょうか。

正の遺産だけとは限らない!「相続権」の発生

親子関係ができると、「相続権」が発生します。

養子縁組をしていない場合、シンママの再婚相手が亡くなった時に、シンママの子供には相続権はありません(シンママは配偶者なので相続権があります)。

再婚相手に離婚歴があり、前妻の元に子供がいる場合は、その子供には相続権があります(前妻には相続権はありません)。

そのため、シンママからすると、前妻の子供には遺産が渡り、自分の子供には遺産が渡らないということが考えられ、「養子縁組をした方が得なのでは?」と思いがちです。

しかし、財産は正の財産だけとは限りません。

借金や負債等の負の財産も相続する可能性があります。

相続権があることが必ずしも、有利になるとは限りませんので再婚相手の経済状況や資産状況を考えて判断しましょう。

実際に、シンママが資産家と再婚し、自分の子供に遺産が相続できるように養子縁組をしたケースで、再婚相手の死後に実は負債を抱えていたことが判明したことがあります。

相続は放棄することができますが、手続きや前妻の子供との話し合い等で非常に疲弊したそうです。

親から子供へだけではない!「扶養義務」の発生

養子縁組をして「親子」になると、再婚相手は連れ子に対して扶養義務が発生します。

再婚相手に「連れ子に対しても親としての責任を果たしてほしい。」と考える場合は、法律的な拘束力があります。

しかし、扶養義務も子供にとってはメリットばかりではありません。

「扶養義務」というのは親から子供への一方向ではありません。

子供から親にも扶養義務はあります。

具体的に言うと、子供が成人後、再婚相手が体を壊して介護が必要になった場合や、借金等で経済的に苦しくなった場合、子供に再婚相手を扶養する義務が生まれます。

養子縁組をするかしないかは子供の意思を尊重して

15歳以上の子供であれば、養子縁組をするかしないかは自分で決定できます。

また、15歳未満の子供に関しても、決して親が勝手に決めて良いわけではありません。

あくまで、子供の代わりに親が決めることができるだけです。

実際に、15歳を過ぎた時に改めて、養子縁組を解消する=離縁するという選択をとる子供もいます。

養子縁組をすると、再婚相手にも親としての自覚ができますし、親と子供の姓が違うと言った、実生活での不便を感じることも少ないでしょう。

そのため、養子縁組をする再婚カップルが多いですが、子供が大人になった時に後悔することもあり得ます。

養子縁組をすることで、何がどう変わるのかを子供に伝えた上で、子供の望む方法を選択できれば良いですね。

シンママの再婚で子供の姓はどう変わる?

シンママが再婚で気にすることの一つに子供の姓の変更があります。

子供が小学生や中学生の場合は、自分の姓が変わることに違和感を覚えたり、周囲から好奇の目で見られたりすることもあるでしょう。

同じ戸籍に入っている場合は、皆同じ姓を名乗ることになります。

そのため再婚後、養子縁組をした場合と養子縁組をしなくても同じ戸籍に入った場合は、子供も再婚相手と同じ姓を名乗ることになります。

再婚によって、子供の姓を変えたくないという場合は、子供を再婚前の元の戸籍に残す方法がまず考えられます。

この場合は、再婚相手と養子縁組をすることはできません。

また、シンママが再婚する時に、戸籍筆頭者をシンママ自身にして、再婚相手に入籍をしてもらい再婚相手の姓を変えてもらう方法もあります。

その場合は、シンママの子供は再婚相手と養子縁組をしても、再婚前と同じ姓を名乗ることができます。

再婚による連れ子の法的立場のまとめ

再婚によって新しい夫婦が誕生することと、新しい親子が誕生するかどうかは全く別の法律行為です。

シンママの子供と再婚相手、又は再婚相手の子供とシンママ自身がどのような関係を結ぶかはいくつかの選択肢があります。

シンママが、自分の子供や相手の子供とどのような法的関係を結ぶかについては慎重に決める必要があります。

大切なのは、自分達の利益を考えるのではなく、何が子供にとって一番の利益となるかです。

子供の年齢や将来的なこと、姓の問題も含めて考えるようにしましょう。

こちらの記事では、連れ子に関する悩みについて解説しています。

家族の在り方について考えるきっかけに、ぜひ参考にしてくださいね。

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